11:10~「人ネットワーク」
FMいるかでは、新型コロナウイルス感染再拡大にともなう特別番組編成で放送をお届けしています。当面の間お客様はお電話でのご出演となります。
今日は、市立函館博物館 学芸員の佐藤 智雄(のりお)さんにお電話でご出演いただきました。
戸井貝塚から出土した、縄文時代の遺物「角偶」。エゾシカの角から作られた人形(ひとがた)です。たくさんの穴が開いた、今にも歩きだしそうな姿はインパクト大。ここ数年、人気が高まっています。
実は佐藤さん、この角偶が発見された、まさにその場にいた方。発見時のこと等さまざまお伺いしました。
角偶の発見は、平成2(1990)年のことです。国道278号戸井バイパス工事の事前調査のための発掘に伴い発見されました。
貝塚の貝層断面をはぎ取る作業の際に、地表からの深さ40㎝ほどのところから現れたそう。
本来ならば発見されることのない、調査区の壁面から見つかったということで、佐藤さん曰く「まさに降臨!」といった感じだったそうです。ユニークな形に、発掘担当者の間でも大きな話題になりました。
全部で38の穴のうち、ひとつは貫通しています。8割は裏側から、そして2割が表から開けられたと考えられているそうです。
貫通しない穴のいくつかには、赤色が残されていたそうです。形だけでもインパクトがあるのに、赤色だったらと考えると面白いですね。
貫通した穴に紐を通して、吊り下げられていた痕跡があります。魔除けや、つきものを祓う形代(かたしろ)として使われていたと考えられているようです。
石よりは柔らかいとはいえ、シカの角を削って作り出しています。相当な時間がかかったことでしょう。
角偶は、全国的に見ても出土数が極めて少ない、貴重な遺物です。しかも、この形!是非、実物を見て頂きたいです。
市立函館博物館に収蔵されており、展示室で見ることができます。
その他、函館では多くの遺跡から、たくさんの遺物が出土されています。ユニークな土偶もたくさんありますよ。是非、博物館に会いに行ってみて下さい。その際は、学芸員さんにお気軽に声を掛けてみて下さいね。
市立函館博物館のホームページはこちらから