11:10~「人ネットワーク」
FMいるかでは、感染対策をしたうえでスタジオにお客様をお迎えしています。
今日はお客様に、北海道立函館美術館 主任学芸員の関口 千代絵さんをお迎えしました。
関口さんは、札幌のご出身。
旭川の美術館でのご勤務を経て、この春から函館美術館にお勤めです。
学生時代に書の勉強をされていたという関口さん。
美術館は扱うジャンルが幅広く、学芸員の皆さんは専門以外の分野の作品を扱ったり、展覧会を担当したりという機会も多いですが、素晴らしい書のコレクションを収蔵する函館美術館では、ご専門の書に関わる機会も多いようです。
現在開催中の展覧会も、まさに「書」。
「金子鷗亭と中野北溟 詩文書の魅力」が開催中で、関口さんが担当されています。
金子鷗亭(1906~2001年)は、道南・松前町の出身で函館とも所縁の深い書家。中野北溟は羽幌町・焼尻島出身。
日本を代表する、北海道生まれの2人の書家の作品を味わうことができます。
1923(大正12)年生まれの中野さんは、現在99歳で札幌在住。
展覧会の初日には、会場に駆け付けてオープニングセレモニーにも参加されました。
漢字・仮名まじりの「近代詩文書」を開拓した鷗亭と、その思いを継承しつつ独自の表現を開花させた北溟。
2人は子弟のような関係で、「北溟」という書の号も鷗亭が贈ったものです。会場には、北溟を名乗る以前の中野さんが半紙に書いた作品も展示されています。鷗亭が朱筆を入れ、激励の言葉を添えて送り返してくれたもので、ご本人が大切にお持ちの物です。
どちらの作品も大変に魅力的で見応えがあります。
鷗亭は若い頃から晩年までの作品。
また現役の書家である北溟は今年書かれたばかりの新作まで並びます。北溟作品は、ご自身がお持ちの物や、個人蔵の作品もありますので、これだけのまとまった作品を見られる機会は滅多にありません。
宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」は、両名の作品が展示されています。
大きな紙に太い筆で力強く書かれた鷗亭の作品と、小さな紙に繊細に描かれた北溟の作品が、あまりに違いますので、是非見比べてほしいです。
会期中、この後も「見どころ解説」や「美術講座」の開催が予定されています。
日中美術館に足を運ぶことが難しい方のために、夜間の講座も企画しました。
また、今回の展覧会の図録はA5判縦の書籍タイプで、作品の写真だけではなく、中野北溟のインタビューも収録されています。
展覧会のポスター、チラシと同じ可愛いイラストが表紙です。
このやわらかいタッチのポスターに魅かれて、足を運んでみたいと思われた方も多いのでは?
二人の故郷への思いも伝わる作品も多くあります。
是非、感染対策をしてお出掛け下さい。
「金子鷗亭と中野北溟 詩文書の魅力」
北海道立函館美術館にて12月4日まで開催。
9時30分から17時(最終入場16時30分)
月曜休館
一般 920円 高大生 610円 小中生 300円(各種割引あり)
※「見どころ解説」は23日(水・祝)14時より
美術講座「鷗亭記念室と詩文書」は19日(土)14時より
共に講堂にて開催。参加無料。13時から整理券を配布します。
また、12月1日(木)には、18時からの鑑賞講座の開催が決まりました。(要予約)
詳しくは、HP をご覧ください。