11:10~「人ネットワーク」
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今日はお客様に、函館市教育委員会 生涯学習部文化財課の学芸員 福田 裕二さんをお迎えしました。
学芸員として長きに渡り縄文に携わり、この度の「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界文化遺産登録にも尽力された福田さん。
登録決定の瞬間は、市役所の庁舎内で市長始め関係部署の皆さんと世界遺産委員会の様子をライブ視聴していたそうです。イコモスの登録勧告があっても、世界遺産員会で審査が白熱する案件もありますが、「縄文」はすんなりと決まりました。ドラマチックさには欠けますが、それだけの評価を受けたということでしょうか。たいへんに嬉しい登録決定です。
福田さんはもともと考古学がご専門。「発掘をするならば南茅部に」という先輩学芸員さんのお誘いを受けお仕事を始められます。当時は、まさか後に世界遺産になる、そして自分がそこに係ることになるとは思ってもみなかったそう。
世界遺産に向け動き始めた当初も「本当に世界遺産になれるのだろうか?」という思いがあったそうです。
多くの皆さんの思いや活動が結集し、この度の世界遺産登録となりました。
福田さんには、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産である、函館の大船・垣ノ島両遺跡の魅力についてもお話いただきました。
「大船遺跡」は、墓地の造成に伴い事前に発掘調査を行ったところ、多くの竪穴建物と遺物からなる大規模な集落跡が発見されました。この場所で人々がどのような生活を営んでいたのか、想像してみるのも楽しいですね。
そして、一般公開が始まったばかりの「垣ノ島遺跡」は、大規模な盛り土遺構が特徴です。こちらは、国道278号のバイパス工事に伴う発掘調査により注目された遺跡です。
「盛り土」は貝塚と同じような意味を持ちます。かつては「捨て場」と言われていたこともありますが、現在では「送りの場」という見方がされています。縄文時代は、「モノ」にも魂があると考えられていたようで、亡くなった方はもちろん、役割を終えた「モノ」も丁寧に送っていたようです。
実は垣ノ島遺跡は、発掘調査が実施されたのが2%程度。そこから膨大な遺物が発掘されています。
大船・垣ノ島両遺跡では、定時解説も行っています。是非、解説を聞いて縄文に思いを馳せ興味を深めていただければと思います。
また、函館や道南には博物館や資料館がたくさんあり、縄文の出土品も多く展示されています。各館にも学芸員さんがいらっしゃいますので、お気軽に声を掛けてお話してみて下さいね。