11:10~「人ネットワーク」
今日は、慶応義塾大学 教授の小笠原 和美さんにお電話でお話をお伺いしました。
2016年からの2年程を、北海道警察函館方面本部長として函館で過ごされた小笠原さん。
昨年4月から、人事異動の形で慶應義塾大学の教授を務めていらっしゃいます。
コロナ禍で、学生の皆さんが登校しての対面授業はなかなか行えない状況ではありますが、総合政策学部の教授として、社会安全政策やジェンダー、性暴力などを専門としています。
特に性暴力は小笠原さんが10年以上、力を入れている分野です。
函館でお仕事をしていた頃にも、さまざまな立場にある人達と連携し、取り組みを行なってきました。
小笠原さんたちの尽力もあり、ここ数年で、性暴力被害者への支援体制などは随分整ってきています。
その一方で、こどもたちへの予防教育の重要性も感じていらっしゃる小笠原さんが、この度、絵本を手掛けられました。
絵本「おしえて!くもくん」は、小笠原さんが全面監修した1冊です。
「くもくん」は、いつも空からこどもたちを見守っています。
ある日、公園で仲良く遊ぶ3人組が鬼ごっこをしている中で、ふざけてパンツを下ろしてしまいます。
それに気づいた「くもくん」は、慌てて3人のところへ。
こどもたちに大切なことを伝えるために、「おそらのきょうしつ」へ連れていきます。
そこで、こどもたちが学ぶのが「プライベートゾーン」のこと。
「プライベートゾーン」は、水着を着ると隠れる部分のことで、自分だけの大切な場所。
簡単に見せたり触らせたりしてはいけない場所です。
口も大切な部分です。
他の人の「プライベートゾーン」を勝手に見たり触ったりしてはいけないこと。
もし、見られたり触られそうになった場合は「いや」という。
いやな目にあっているお友達がいたら、助けてあげたり、大人に相談したりする。
ということが、可愛らしい絵と、分かりやすい文章で綴られています。
巻末には、「くもくん」からのお手紙にお返事を書くページや、確認のページが設けられ、お話の内容を復習しながら、考えることができる構成になっています。
さらには、ダウンロード特典も充実しており、教育現場で活用する際に指導に役立つ情報が満載です。
大切だという事は分かっていても、それをこどもにどのように伝えたら良いか悩んで来られた方も多いのではないでしょうか?
絵本を一緒に読むことで、子供たちに伝え、一緒に考えることができるのではないでしょうか。
また性暴力の被害者となるのは女の子ばかりではありませんし、無意識に加害者となってしまう場合もあります。
自分では声を上げられない子供もいます。
大人たちも、子供たちを取り巻く環境に広く目を向けることも大切ですね。
現在は函館を離れられた小笠原さんですが、この本を完成させるに当たり、函館時代に関わりのあった多くの皆さんの助けがあったとお話下さいました。
絵本に込められたメッセージが多くの方に届きますように。
「おしえて!くもくん」 東山書房 1,200円(税別)
おしえて!くもくんプロジェクトのホームページはこちら