11:10~「人ネットワーク」
今日は、北秋田市教育員会 生涯学習課 世界遺産推進係 係長で学芸員の榎本 剛治(たけはる)さんにお電話でご出演いただきました。
北秋田市は、2005(平成17)年に秋田県北部にある鷹巣町など4つの町が統合して誕生した市です。
函館とも親交の深い北秋田市には、昨年世界遺産となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつ「伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡」があります。
伊勢堂岱遺跡は、今から4000年程前の縄文後期の遺跡。
見晴らしの良い高台にあり、世界自然遺産の白神山地を見渡すことができます。
そう、世界遺産から世界遺産が見えるんです。
遺跡の主体は、4つの環状列石(ストーンサークル)。
一番大きなものは、直径が約45mもあります。
環状列石の下からは、死者を埋葬した跡が見つかり、祈り・マツリの道具も多く出土しています。
高さ19㎝ほどの板状土偶は、完全な形に復元できる状態で発見されました。
土偶は、何らかの理由で壊されるものが多いと考えられていて、完全な形に復元できるのは珍しいのです。
ユニークなキノコ型土製品も出土しています。
これらの出土品などは、遺跡に隣接する「伊勢堂岱縄文館」で見ることができます。
この遺跡は、1990年代に道路工事を行うための発掘調査で確認されました。
地域の皆さんなどから、遺跡保存の声が挙がったため、道路工事は中止となり、現地保存されることとなりました。
これは大変珍しいことだと思います。
道路はその後、遺跡を迂回する形で工事が行われますが、半地下状で遺跡からは目に入らないように作られているそうです。
このように地域のみなさんが守った遺跡。
「おらほうの遺跡」(秋田弁で「私たちの遺跡」)と地域の皆さんが誇りに思う大切な遺跡です。
榎本さんは千葉県のご出身。
歴史はお好きだったそうですが、縄文に関心を持つのは大学に入ってから。
縄文土器に見られる模様のデザイン性に魅かれたそう。
土器の模様も、時代や地域によって特徴があります。
秋田の土器には、「S」を横向きにして連ねたような、左右非対称の模様が見られるものが多いそうです。
この模様を車体に描いた観光列車「秋田縄文号」も月に一度運行しています。
北秋田市内の飲食店や菓子店では、伊勢堂岱遺跡で発掘された土偶をモチーフにした「土偶チョコ発掘スイーツ」を展開しています。
各店、工夫を凝らしたスイーツを販売しています。
遺跡見学と合わせていかがでしょう?
団体向けの解説や、ボランティアの方による解説なども実施していますので、お出かけの際はお問合せ下さい。
また今後は、遺跡周辺でもイベント等の開催予定もあるそう。
久々の行動制限のない夏。
東北まで足を延ばして遺跡巡りはいかがですか?
伊勢堂岱遺跡ホームページは こちら からどうぞ。