11:10~「人ネットワーク」
今日は、北海道庁の縄文世界遺産推進室 特別研究員の阿部 千春さんにお電話でご出演いただきました。
現在は札幌でお仕事をされる阿部さんですが、かつては函館にいらっしゃり、函館市縄文文化交流センターのオープンに携わって、初代の館長を務められました。
ご出身はかつての炭鉱の町、道央の赤平市。
小学生の頃は化石取りに夢中でした。
ここで阿部さんは、ひとつ勘違いをします。
化石取りを考古学だと思っていました。
この区別がつかない方も多いかも知れませんが、化石取りは「生物学」で理系。考古学は「歴史学」で文系。
そもそもが大きく違います。
ゆえに大学時代は、しぶしぶ考古学に取り組んでいたそうです。
大学卒業後は、北海道埋蔵文化財センターにお勤めをされます。
そこで千歳市の美々(びび)4遺跡の大規模な周堤墓に出会い、そこから考古学にのめりこんでいったそう。
その後学生時代の先輩からのお誘いで、南茅部町教育委員でのお仕事が始まります。
南茅部では道路のバイパス工事を行うために、発掘調査が必要になりました。
この頃(平成元年)既に、この地域は縄文に係る方にとって、特別な地。
阿部さん、始めは「びびってしまって」とお断りになったそうです!!
南茅部にいらしてからは、発掘にも携わり、経験豊かな地元の発掘作業員の皆さんとも親交を深められたそうです。
センターの開設は、この地域から出土した「中空土偶」(カックウ)を国宝にすることを見据えてのことでした。
国宝には展示の場所が必要です。
南茅部町が合併で函館市となったことで、その道筋が見えてきました。
2011年のセンターオープン後、阿部さんは3年程、館長を務められ札幌へ。その後は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録に向け、推薦書の作成などに当たられます。
ピラミッドやパルテノン神殿など著名な世界遺産は、目に見えて価値が分かり易いもの。
それに比べて、目には見えない縄文の価値をどのように論理的に証明するか・・・大変な作業です。
また、各地で縄文の普及啓発活動を行い、イコモスの調査にも対応しました。
縄文について、始めに「世界遺産」という言葉が出たのは2002年のこと。
その時は夢物語と思っていたそうですが、暫定リスト掲載、国内推薦を得る、と長く苦労の続く道のりを経て、この夏遂に現実のものとなりました。
阿部さんが考える縄文の魅力は、私たちと変わらない普通の人々の生活の痕跡であるところ。そこに人類の根源的な価値があると考えます。
また、自然への向き合い方、命を大切にする心など、現代にも通じる、今だからこそ考えたい意義もたくさんあります。
世界遺産登録はゴールではなく、スタートです。
今さかんに耳にする「SDGs」の理念に繋がる面も多くあります。
また、アドベンチャートラベルなどの新たな観光コンテンツとしての可能性も大いにあります。
函館は、世界遺産「も」ある街になりました。
まずは、この地に住む私たちが大いに縄文を楽しみましょう。
※17日(日)まで「JOMON WEEK in HAKODATE」開催中。
阿部さんご出演プログラム
・16日(土)「大使と一緒に学ぼう!世界遺産と道南の縄文」
シエスタハコダテ4FGスクエアにて 13時30分から(事前予約なし、定員30名)
・17日(日)シンポジウム「縄文の未来を語る。」
パネルディスカッションのパネラーとして
ホテル法華クラブにて 13時から(事前予約制 渡島総合振興局 0138-47-9435)
「JOMON WEEK in HAKODATE」の詳しい内容については、こちらをご覧ください。